人員キャパシティ計画では、利用可能な人員とスキルで、一定期間に見込まれる業務をこなせるかを検討します。勤務予定、休暇、定常的な職務、職種上の制約を業務遂行能力に換算し、意思決定に間に合う段階で余力や不足を明らかにします。
組織図に10人の名前があっても、フルタイム10人分のキャパシティをそのまま使えるわけではありません。稼働可能時間、スキル構成、定常業務、需要の発生パターンによって、チームが実際に遂行できる業務量は決まります。
人員キャパシティの基本計算式
個人またはフルタイム換算人数(FTE)については、次のように計算します。
利用可能キャパシティ = 所定労働時間 − 承認済み休暇時間 − 祝休日の時間 − 成果物の提供に直接充てられない定常業務の時間
職種別またはスキル別のグループについては、次のように計算します。
職種別キャパシティ = FTE当たりの利用可能キャパシティ × FTE数 × 生産性係数
続いて、供給と需要を比較します。
キャパシティ差分 = 利用可能な職種別キャパシティ − 必要業務量
正の値は余力があることを、負の値は不足があることを示唆します。
生産性係数は慎重に使ってください。常に背伸びを求める目標値ではなく、通常の条件下での過去の業務遂行実績を反映させる必要があります。
シュリンケージと生産性係数は分けて扱います。シュリンケージは、休暇、研修、会議、予定されている稼働停止など、業務遂行に使えない時間を差し引くものです。生産性係数は、通常の条件下で観測された処理量に基づき、残った時間を調整します。同じ損失を両方に計上すると、キャパシティを過小評価し、実際には存在しない採用の必要性を生み出しかねません。
リアルタイムのサービス業務では、応対占有率、同時対応数、時間帯別の需要も考慮する必要があります。電話やチャットの到着が偏っている場合、担当者2人がそれぞれ7時間稼働できても、有効なサービス提供時間が自動的に14時間になるわけではありません。必要な時間帯の対応体制が重要な業務には、待ち行列モデルや時間帯別モデルを使います。より単純な時間ベースのモデルは、プロジェクト型業務や一括処理型業務に適しています。
計算例
5人の導入支援チームで、1人当たり週40時間の勤務を予定しているとします。
- 所定労働時間の合計:200時間
- 休暇と祝休日:16時間
- 会議と管理事務:35時間
- 持ち回りのサポート業務:20時間
計画上、成果物の提供に使えるキャパシティは129時間です。チームが引き受けた業務に150時間かかる場合、差分は-21時間になります。
ここで計画には判断が必要です。対象範囲を調整する、日程を変更する、サポート業務の配分を見直す、一時的にキャパシティを追加する、あるいはリスクを記録したうえで受容する、といった選択です。表計算ソフトがそのトレードオフを判断してくれるわけではありません。
人員キャパシティ計画のプロセス
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計画期間を選ぶ
直近の業務配分には週次またはスプリント単位の計画を、運用上の人員配置には月次計画を、採用やスキル開発には四半期または年次計画を用います。すべての期間に一つのモデルを無理に当てはめないでください。
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需要を予測する
想定される事業活動量を、必要な工数に換算します。
- プロジェクトとマイルストーン
- サポート対応量
- 顧客の導入・利用開始支援
- 定常的な運用業務
- 営業パイプラインのシナリオ
- コンプライアンス業務や保守作業
- 把握している季節的な繁忙期
需要が不確かな場合は、基本、高需要、低需要のシナリオを用意します。
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キャパシティの基準値を作る
所定労働時間から、休暇、祝休日、会議、研修、管理、サポート、その他の固定業務の時間を差し引きます。職種や重要なスキルごとに分けて算出します。
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需要を同じ単位に換算する
キャパシティを時間で測るなら、需要も時間に換算します。重み付けした案件数や作業ポイントを使う業務では、過去のデータでその単位を校正します。
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期間別とスキル別に不足を特定する
会社全体では十分な時間が確保できていても、3月のセキュリティエンジニアや、週末のスペイン語対応サポート担当者が不足することがあります。
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対応策を検証する
次の施策による影響をモデルで検証します。
優先順位の見直しや対象範囲の縮小
期限の変更
プロセスや自動化の変更
研修や複数スキルの習得
外部契約人材や臨時従業員の活用
採用
サービス水準の変更
社内異動
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実績を振り返り再調整する
計画した工数と実際の業務遂行結果を比較し、差異を説明します。定常業務を無視したモデルのためにチームを責めるのではなく、前提条件を更新してください。
人員キャパシティ計画のテンプレート
需要表
需要の記録には、期間、業務区分、予測件数、単位当たり工数、必要時間、必要スキル、確度を記入します。
キャパシティ表
キャパシティの基準値には、期間、職種またはスキル、FTE、所定労働時間、控除項目、生産性係数、算出した稼働可能時間を記入します。
不足と対応策の表
意思決定の記録には、期間、職種またはスキル、利用可能キャパシティ、必要な需要量、差分の大きさ、選択した対応策、実行責任者を記入します。
モデルの改善に役立つ指標
- 予測精度
- 計画工数と実績工数の比較
- スキル別の利用可能キャパシティ
- 職種別の稼働率
- 残業および時間外労働の推移
- 仕掛かり業務量
- 未処理業務の滞留期間
- 手戻り率
- 新入社員が習熟するまでの期間
- 外部契約人材の充足状況や欠員の補完状況
量と質の両方をモデルに組み込むと、キャパシティ計画の精度が高まります。手戻りを生みながら必要量をこなす計画では、不足を解消したことにはなりません。
実際の働き方を基にキャパシティを再調整する
KeepActiveの時間追跡機能は、コンピューターを使うチームについて、過去の業務時間やアプリケーション利用のパターンを把握するためのデータを提供できます。プロジェクト追跡機能では、プロジェクト別・タスク別の時間も加えられます。こうした記録は、実際の稼働可能時間や定常業務に関する前提の調整に使ってください。操作中の1分1分を、すべて相互に置き換え可能なキャパシティと見なしてはいけません。
あるテクニカルサポート最適化の事例では、企業が5人の採用を承認する前にキャパシティを確認しました。KeepActiveにより、一次対応は過負荷である一方、二次対応の負荷は想定の約60%であることが分かりました。経営陣が2人を配置転換した結果、処理時間は通常に戻り、予定していた採用は取りやめになりました。
既存の人員需要予測ガイドでは、需要に関する前提が、より長期的な人員の意思決定にどうつながるかを説明しています。
キャパシティ計画と人員計画の違い
キャパシティ計画は、利用可能な人員とスキルで、一定期間に見込まれる業務を遂行できるかを検討するものです。人員計画はより広い概念であり、将来の職種、組織設計、勤務地、報酬、後継者育成、長期的な人材供給を含みます。
キャパシティの不足は採用につながることもありますが、プロセス、優先順位、スキル配分の問題を示している場合もあります。
稼働可能量を過大評価するキャパシティ計画の誤り
- 稼働可能時間の代わりに人数を使う。
- 全員を稼働率100%で計画する。
- 会議、サポート、管理事務を無視する。
- 異なるスキルを一つの人員プールにまとめる。
- 不確かな営業案件を確定需要として扱う。
- プロセス変更を検証する前に採用する。
- 単純な業務と複雑な業務に同じ平均工数を使う。
- 実績が得られてもモデルを更新しない。
スキルと同時対応数に基づくキャパシティのモデル化
希少なスキルが必要な業務では、人数は適切なキャパシティ単位ではありません。セキュリティ設計をレビューできる人や、顧客の言語を話せる人が2人しかいなければ、10人が相互に置き換え可能な10単位に相当するわけではありません。職種と重要なスキルごとに差分を算出し、他の人に割り当て直せない業務を明示してください。
同時対応数によってもモデルは変わります。チャット担当者は複数の会話に同時対応できる場合がありますが、電話担当者は通常できません。レビュー担当者は複数の定型案件を同時に監督できても、複雑なエスカレーション案件は一度に1件しか扱えない場合があります。根拠に基づく同時対応係数を使い、難しい業務ではその値を下げてください。単一の平均値を用いると、サービス上のリスクが最も高い部分で、実在しないキャパシティを計上しかねません。
人数ではなくスキルに基づいてキャパシティを計画する
キャパシティ計画は、選択を促してこそ役に立ちます。不足があれば、優先順位の見直し、人員配置、対象範囲の変更、日程の修正につなげる必要があります。表計算シートの説明のない赤いセルは、計画ではありません。
FAQ(よくある質問):回答と解決策:
人員キャパシティとは何ですか?
稼働可能時間、スキル、プロセスの遂行能力、固定的な職務を踏まえて、一定期間に人員が現実的に完了できる業務量のことです。
適切なキャパシティの余裕幅はどの程度ですか?
一律に適用できる割合はありません。余裕幅には、需要の変動、サービス上のリスク、緊急性、遅延コストを反映させる必要があります。安定して繰り返される業務で必要な余裕は、予測しにくいサポートやインシデント対応よりも小さくなります。
キャパシティ計画はどのくらいの頻度で更新すべきですか?
直近の運用計画は週次または月次で見直します。採用やスキルに関する計画は通常、四半期ごとに見直し、需要が大きく変化した場合はより早く更新します。
稼働率が高ければキャパシティ計画は適切だと言えますか?
必ずしもそうではありません。高い稼働率と、納期遅延、残業、品質の低下は同時に起こり得ます。業務の流れ、需要、持続可能性を確認してください。
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